ダイバーシティ・マネジメント
当事務所のクレド(信条)の候補にダイバーシティ・マネジメントの普及があります。ダイバーシティといってもお台場にある解体予定のガンダムではありません。
もともと欧米で広まった雇用の場でのダイバーシティとは人種や宗教を越えた、グローバルに活躍できる企業となるべく、多様性をもった組織づくりをするための考え方です。日本の中小企業での雇用、組織づくりでのダイバーシティ(多様性)というと、そこまで高尚なものではなく、現状留学生を最低賃金でアルバイトとして雇うといった低次元でのダイバーシティとなっている感があります。
しかし、少子高齢化が進む日本では、すでに運送業をはじめ、求人募集をしても採用担当者の思った通りに集まらないといったことがおきています。少し古いデータですが平成26年の内閣府の調査によると今後、現状と同程度の出生率・女性の社会進出であると※別表1のような労働力人口推移となるとしています。
このデータの通り推移すると、今後ますます企業の採用は従来の採用基準で進めると困難となるのは間違いありません。
※別表1
話しが逸れますが、4月中旬に詳細が発表される第49回(平成29年度)社会保険労務士試験を受験される方もいらっしゃると思いますので、上記と矛盾しますが試験対策的な部分にも触れておきます。
26年、27年と連続して「労務管理その他労働に関する一般常識」選択式問題において「基幹統計調査」「パネルデータ」等出題されているので、念の為チェックしておいたほうが良いかもしれません。ここでの「一般常識」とは社会通念上の一般常識ではなく、社労士試験的な「一般常識」と捉えておかないと選択式試験で1点に泣くことになります。
最新のデータは4月以降、資格の学校等の直前対策講座で確認しましょう。考え方の参考として昨年度のデータを示しておきます。
総務省の労働力調査(平成27年)によると、労働力人口は6,598万人。前年より11万人増です。試験的には細かい数字より増えてるってイメージをもってください。あれっ?増えてんの。って疑問に思った方は合格に近づく感性をお持ちです。なぜ増えたかというと、※別表2の通り、女性の労働力人口が増えたためです。
男女雇用機会均等法のポジティブ・アクションが進んだ結果であればこれもダイバーシティ・マネジメントと言えます。正規とよばれる職員は26万人増となっているので、今後は女性管理職の増加がポイントとなります。
※別表2
単位:万人 | ||
労働力人口 | 6,598 | 11万人増 |
(男 性) | (3,756) | (7万人減) |
(女 性) | (2,842) | (18万人増) |
さて、ダイバーシティ・マネジメントですが、最近の法律改正においてもそれを後押ししています。雇用保険法・育児介護休業法・障害者雇用促進法が改正されており、年齢・性別・障害等での合理的ではない就労差別をしづらいようにするためです。
法律は最低限のことを決めているだけであり、企業が成長し続けるために、有能な人材を集めるためには法律以上の取組みが求められるのは言うまでもありません。
「大学新卒男性」といったような従来の採用活動では法律以前の問題として、そもそも人が集まらない時代となってきています。
それぞれの法律が持つダイバーシティ・マネジメントへの影響についてはまたの機会にお話しします。