e‐Gov更新!添付書類で混乱も
昨年11月24日、e-Govが大幅にリニューアルされました。このようなリニューアルは、土日祝日にかけて行われるのが民間では通常ですが、11月11日のお昼から、24日の朝までの約1週間、すべてのサービスを停止して行われました。
大きな変更理由は、GビズIDによる申請開始のため。詳しくは下記リンクを参照してください。
リンク→e-Govポータル
e-Govによる電子申請では、印鑑の代わりとなる電子証明書の取得が必須でした。電子証明書と聞いただけで、人事労務を担当しているベテランの方は拒否反応を示すのではないでしょうか。電子証明書は取得、更新時に有効期間等によって1~2万円程度かかります。ただ、その費用よりも、電子証明書を添付するだけでも苦労するので、PCの扱いになれていない方は、そもそも紙ベースで手続きしたほうが早いということがe-Govのデメリットでした。
また、行政はコロナ前から電子申請を推進していましたが、雇用保険被保険者資格取得届等、あきらかに紙ベースで申請したほうが手続き完了となるのが早いということもあります。電子申請分を後回しにしているのではと勘繰りたくもなります。
GビズIDは無料で利用できるということもありますが、これまでのe‐Govによる申請で、多くの離脱者を出した原因は、その申請画面の展開の難しさです。特に「申請情報入力」→「電子署名の付与」→「預かり票の保管」の流れの分かりづらさといったら酷いものでした。何度も同じところをループしている感じで、その間で間違うと最初からやり直しという罰ゲーム状態。
また、無事申請できたとしても、うっかりパーソナライズ登録を忘れると、処理状況の確認を行うため、その申請データを検索するのが困難というか苦行そのもの。これらの理由で、実務上では電子申請をあきらめて、これまで通り紙ベースで申請するか、電子申請に対応したソフト等の導入をするかの二択でした。弊所でもセルズの「台帳」を導入しています。
しかし、ソフト等を導入しても、申請内容によっては、対応していない申請もあるので、どうしても電子申請で行いたい場合は、これまでもe‐Gov直で行う必要がありました。
更新後、これまでは申請画面にたどり着くまでに迷子になるような作りでしたが、最初の画面で「電子申請」をクリックできるようになりました。HPの導線すら、まともに設計できていなかった証左ですが、これを修正しただけでも、画期的に思えてしまうほど、日本のITリテラシーの低さの表われではないでしょうか。
さて、初期登録後、「電子申請」をクリックし、ログイン(ログインまでのイメージは、スマホで二段階認証を行う銀行決済アプリに近い)すると、マイページが表示され、すぐに審査中の案件や、通知件数が表示され、ソフトを利用したときのように一目で、審査中等の概略が分かるようになりました。手続検索も、相変わらずあまり使わない似たような手続き名が連続しているものの、だいぶマシになったのではないでしょうか。
とはいえ、市販されている人事労務のソフト等違い、紙ベースと同様、ほぼすべての項目を入力していく必要があります。従業員数が多い会社では、e‐Gov直のみで手続きをすすめるのは現実的ではありません。
昨年11月24日、更新直後のSNSを覗いてみると、早くも新しいe‐Govを利用した社労士から、トラブル事例の報告が多く寄せられていました。ほとんどが、添付書類のエラーに関すること。多くのベンダーも同様のトラブルがあることを報告していました。
弊所が導入している某ソフトも同様でしたが、このような事態は想定されたので、また、急ぎの申請も無かったことから、落ち着いてきた12月に入って、ソフトを使って雇用保険被保険者資格取得届と賞与支払届を、e‐Gov直で就業規則(変更)届、時間外労働・休日労働に関する協定届、事業所関係変更(訂正)届を申請。
話しのネタになるかとも思い、どこかトラブルが起きることを期待していましたが、何事もなく無事手続終了となりました。現行、弊所では電子証明書形式で申請していますが、おそらく将来的にはGビズIDに一本化されると思います。これから、電子申請を行いたいという方は、とりあえず費用もかからないGビズIDを利用して電子申請してみてはいかがでしょうか。