「国民年金」繰上げ支給時の減額率について
弊所は「労務管理事務所」と謳っておりますが、年金の裁定請求業務も行っております。
先日、夫が亡くなり遺族厚生年金(旧共済年金)の請求をその妻から依頼されました。その請求の添付書類のひとつに請求者本人(今回は妻)の現に受給している年金証書があります。(※他の基礎年金番号がわかる書類でもよい)手元にないとのことで、年金事務所で再発行をしたのですが、どうやら、区画整理に伴う住所変更が反映していなかったようで、そもそも妻の手元に郵送されていたのか怪しいところです。
ともかく再発行して、手元に郵送されたのですが、62歳時に繰上げ支給を請求していたようで下図のように減算されていました。(黒塗りしていますが、「-」表記があるところです)なお、請求者である妻は夫死亡時において老齢基礎年金のみの受給となっています。
「繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数×5/1000」なのですが、今回請求者である妻は昭和16年4月1日以前生まれなので下図のような旧減額率が適用されています。なお、旧減額率又は増額率は社会保険労務士の試験では重要ではありませんが、年金アドバイザー2級試験では問われるかもしれません。
なので、私もなぜ「36月×5/1000=0.18」の減額率にならないんだろうと一瞬悩みましたが、平成16年4月1日以前の旧減額率適用のような話があったなぁということを思い出し適切に説明できました。年金専門でない社労士なのでこの辺は突然質問されると私もけっこうドキドキです。よく調べてから回答しなければなりません。
繰上げ請求時の年齢 | (旧)減額率 |
60歳以上61歳未満 | 42% |
61歳以上62歳未満 | 35% |
62歳以上63歳未満 | 28% |
63歳以上64歳未満 | 20% |
64歳以上65歳未満 | 11% |
過去はこのように倍以上の減額率です。裏を返すと繰下げした場合は最大88%アップという今では考えられないほどの増額率となっていました。現在は最大42%なので、元気に長生きする自信のある方は繰下げも検討してみましょう。
なお、65歳時以降の収入にもよりますがFP的に相談された場合、多くの事例において繰下げ支給をおすすめしておりません。が、この辺は自身のライフプランによりますので、気になる方はご相談ください。なお、一度繰下げ・繰上げを選択すると後から取消しできませんのでご注意を。